離職を止めるのは給料ではない。24ROAD代表が語る、人が辞めない会社のつくり方

「せっかく採用しても、また辞めてしまった…」
「給料はこれ以上、上げられない。ほかに打てる手はないのか」
こうした悩みを抱えているロードサービス・レッカー会社の経営者の方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、離職を止める打ち手は、昇給や福利厚生の見直しではありません。
本当に必要なのは、社員が働きやすい環境づくりです。
本記事では、そのための具体的な工夫や経営者の振る舞いを、人が辞めない会社のつくり方として、24ROAD代表へのインタビュー、加盟企業への取材をもとに紹介します。
給料を上げるのが厳しくても、明日から自社で着手できる施策を知りたい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 離職を止める打ち手は昇給や福利厚生ではなく、社員が働きやすい環境づくり
- 24ROADが取材した企業は、残業を減らし、無理な出動を強制せず、社員を孤独にさせない運用を続けている
- 教育の仕組み化、情報のオープン化、明確な評価基準づくりも離職を防ぐ工夫のひとつ
- 経営者自身が会社の向かう先を言葉にし、笑顔を見せ、大変さも隠さず伝えることが最後の鍵になる
ロードサービスで離職を止めるのは「給料ではない」のはなぜか
冒頭でも述べたとおり、離職を防ぐために見直すべきなのは、給料や福利厚生ではなく、働きやすい環境づくりです。
給料を上げても、しんどさや事故のリスクなどを放置したままでは、社員が耐えられないためです。
24ROAD代表は「長く働いてもらうには事故のリスクを抑える必要があり、そのためには働き方から根本的に見直すしかない」と語っています。
面接や入社後の時点では、「すごく稼ぎたいので残業は歓迎です」と話す社員もいます。
しかし、そう話していた人が「ここまでしんどいと思わなかった」となって辞めてしまうケースが、24ROADでも何度もありました。
今の24ROADは、昔に比べて初任給を下げています。
収入面で選んでもらうのではなく、「働きやすさで選んでもらう方向」へ方針を変えたのです。
なお、採用の段階でお困りの場合は、以下の記事が参考になります。
離職を防ぐにはどのような工夫をするのが正しいか
給料を上げなくても、さまざまな工夫で離職を防ぐことができます。
ここでは、24ROAD編集部が取材した企業が実行している8つの例を紹介します。
残業を減らす
ある企業が働き方の見直しで重視しているのは「残業をどれだけ減らせるか」です。
長時間の労働が続くと、体がもたずに離職へつながりやすいためです。
代表は「もちろん法律の範囲内で残業してもらうんですけど、物には限度がありまして」と語ります。
稼ぎたいという本人の希望どおりに任せ続ければ、体のほうが先にもたなくなるためです。
夜間の対応も同じ考え方で回しています。
入社2〜3年の社員には夜勤を任せず、夜勤に入った翌日は休みにしています。
社会保険労務士に労務の設計を見てもらったうえで、そう定めました。
無理な出動を強制しない
取材先企業のお話では、現場へ「行け」と強制しません。
現場の社員からすれば、「また自分が行くのか」とうんざりしてしまいます。
また、「それを上から言われたから仕方なくやる、となれば、事故のリスクもすごく高くなる」という代表の考えも理由の一つです。
だからこそ、危険だと感じたら断る・中断する勇気を、入社したての時期に教えています。
具体的には、手配した車両が現場に合わないときは作業を中断し、現場の本人か会社のどちらかがお客様へ説明して車両を入れ替えます。
なお、ロードサービス業界の常識である「24時間営業」そのものを辞めることも可能です。
以下の記事で事例を紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。
万一のときに社員を守る体制を整える
会社が社員を守り切れる体制を、事故や怪我が起きる前に整えておくことも重要です。
24ROADが取材した企業の場合、事故や怪我が起きたときは社会保険労務士へ手続きを任せ、労災を真っ当に処理しています。
対応範囲には、労災病院や労働基準監督署へ出す書類の作成まで含まれます。
日頃から行政書士・社会保険労務士・税理士・弁護士によるサポート体制を整えており、危ない対応はしません。
また、仕事上のリスクだけでなく「会社が存続するのか」という不安を社員に与えないことも、守る体制の一部として考えています。
社員を守るうえでは、法令への対応も欠かせません。
2026年からは、仕事が終わってから次の仕事が始まるまでに11時間を空ける「勤務間インターバル」への対応が必要になっています。
自社が正しく対応できているか確認したい方は、以下の記事を参考にしてください。
社員を孤独にさせない
また、ある取材先企業は、疲れや不調を一人で抱え込ませず、周りが気づいて動ける職場づくりを心がけています。
ロードサービスの現場は単独での対応が多いこともあり、しんどくてもなかなか周りに言い出せないためです。
代表は「その1日を惜しむがために無理してお願いすることで、1年しかもたなくなってしまうかもしれない」と語ります。
逆に「1日2日を辛抱することで、3年5年ともつ可能性だってある」と考えています。
社員が一人で苦しまないように取材先企業が続けている取り組みは、下記のとおりです。
- 社員の異変に気づける人を社内に置く
- 体調不良の話を聞いたら、その日のうちに休ませる
- 負荷が一人に集中したときは、翌日の段取りを組み替える
これら3つのうち、自社に取り入れられそうなものから着手してみてください。
教育を仕組み化する
何をどう教え、いつから任せるのかを、会社のルールとして決めています。
「背中を見て覚えろ」という昭和のやり方では、教わる内容も独り立ちの時期も、指導する先輩によって変わってしまうためです。
代表は「二度と同じ現場はないと思ってほしい。とはいえ、ある程度のベースがないといけません」と話しています。
ここでいうベースとは「バッテリー上がりとは何か」「故障した車を積載車に積むとはどういうことか」といった、一つひとつの基本のことです。
24ROADに加盟している企業に取材したところ、作業の基本パターンを、写真や図解、文章でマニュアルにまとめています。
そのうえで、教育係が横にぴったり張り付いて教えていきます。
そして仕事を覚えるまでは、案件をこぼしてでも新人に運転させません。
「早く大型を引きたいです」と話す新人がいても、安全第一で対応させないようにしています。
社内の情報をオープンにする
会社の情報を一部の人だけが知っている状態をなくすことも、24ROADの取り組みの一つです。
「せっかく同じ釜の飯を食っているんだし、情報は全部オープンにしてあげるべきではないか」と代表は語ります。
具体的には、会社の数字を全員が見られるようにしていきます。
ツールの使い方も、特定の人しか知らない状態にはしません。
働きぶりを言葉で認める
日々の働きぶりへは、「ありがとう」「すごいね」と言葉にして伝えています。
人は誰でもある程度の承認欲求を持っているものだからです。
24ROADの代表もロードサービス会社を経営する社長です。
そこで代表は、グループLINEでの発信を「細かい指摘」から「感謝と労い」へ変えました。
たとえば「遅くまでごめんね」や、寝ている時間帯に出勤した社員への「出勤ありがとう」といった言葉をかけています。
一方、改善してほしい点は全体の場では言わず、部長を通して個別に伝えています。
人事の評価基準を明確にする
何をすれば評価されるのかという基準は、明確に示しています。
基準があいまいなままでは評価が不公平になり、不満がたまって離職につながるためです。
24ROADに加盟している企業の中には、社会保険労務士と一緒に、40〜50項目の評価制度を作成しています。
年功序列は廃止しており、評価対象となるのは、スキルや会社への協力体制などです。
あわせて、苦手の克服を求めるより、長所を伸ばす方針で社員を育てています。
社員に憧れられる会社をつくるために経営者はどう振る舞うべきか
改善すべきなのは、仕組みや働き方だけではありません。
ここでは、社員に憧れられる会社をつくるための、経営者自身の振る舞いを3つ紹介します。
会社がどこへ向かうのかを言葉にする
経営者は、会社のビジョンを社員に共有しましょう。
先の見えない会社では「ここで働き続けてよいのか」という不安が消えないためです。
たとえば、24ROAD加盟中のある企業では週休3日の実現を目標として掲げており、社員とともに実現を目指しています。
また、ロードサービス以外の事業もすでに手がけており、方向性を社内で直近3回ほど話してきました。
ビジョンは一度伝えて終わりではなく、繰り返し言葉にしていくものです。
しんどい顔ではなく笑顔を見せる
代表は、社員の前でしんどい顔を見せずに、笑顔でいることを心がけています。
笑顔が出るのは、今が楽しいということです。
「楽しいがベースにあるということは、しんどくないということでもあると思うんです」と代表は語ります。
まず経営者が笑顔でいることで、その空気感が現場へ広がっていきます。
大変さも隠さずに伝える
これから入ってくる人へは、仕事のよい面だけでなく、大変さも隠さずに伝えます。
入る前に聞いていた話と実態が異なる場合、すぐに辞めてしまうリスクが高まるためです。
実際に「ロードサービスの仕事を自分の子どもに勧められるか?」と問われた代表は、「勧めません」と正直に答えています。
「大変だから、危ないから、やらせたくない」というのがその理由です。
よい面だけを並べて闇雲に人を集めるよりも、大変さを知ったうえで入ってくる人を厳選したほうが、中長期的には人員の確保で苦労しにくくなるでしょう。
まとめ:ロードサービスの離職を止めるのは会社側の工夫と経営者の姿勢
離職を止めるために必要なのは、安易に給料を上げるのではなく、社員が働きやすい環境を整えることです。
残業を減らす、無理な出動を強制しない、教育を仕組み化するなど、会社側ができる工夫はいくつもあります。
また、経営者自身が「この人についていきたい」と思われる姿を見せ続けることも大切です。
離職を減らして人が定着する会社を増やすことは、ロードサービス業界の環境改善という24ROADの目的と重なります。
だからこそ、同じ課題に取り組む会社と一緒に協力していきたいと考えています。
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