AIの進化によって、多くの仕事の将来性が議論されています。
特にデータ入力や事務などのオフィスワークは、自動化の影響を受けやすい分野といわれています。
そのため「今の仕事は将来なくなるのではないか」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
一方で、AIが普及しても需要がなくならないと考えられている仕事もあります。
その代表例の一つが、レッカー・ロードサービスの仕事です。
ロードサービスは、事故や故障などの現場に駆けつけ、車両トラブルを解決する仕事です。
結論から言うと、この仕事は、AI時代でも必要とされ続ける可能性が高い職業といえます。
なぜロードサービスはAIに奪われにくい仕事なのでしょうか。
その理由を、現場の特性から分かりやすく解説します。
ロードサービスの仕事がAIに奪われにくい理由は、主に次の5つです。
この記事のポイント
・物理的な車両トラブルはAI時代でもなくならない
・現場ごとに異なる状況判断は人間の能力が必要
・顧客の不安を支える接客力が求められる
・AIやDXは人間の仕事を支援するツール
・災害時には社会インフラとして重要な役割を担う
1. 車が走る限り「物理トラブル」はなくならない
AIや自動運転技術の進化によって、将来的に交通事故が減少する可能性はあります。
しかし、車が道路を走る以上、物理的なトラブルそのものが完全になくなるわけではありません。
例えば次のようなトラブルは、AIとは関係なく発生します。
・タイヤのパンク
・バッテリー上がり
・落輪
・雪道や泥道でのスタック
これらは車両の構造や道路環境によって起きる問題です。
つまり最終的には現場で人が対応し、物理的に解決する必要があります。
ロードサービスは、こうした現場で発生する車両トラブルを解決する仕事です。
そのためAIが進化しても、完全に代替される可能性は低いと考えられています。
2. 毎回状況が違う「現場対応の仕事」
ロードサービスの現場は、整備工場とは大きく異なります。
工場のように整備された環境ではなく、交通量や天候、路面状況などが毎回違う「現場」で作業を行うためです。
そのため、その場の状況に応じた判断が常に求められます。
現場では次のような要素を同時に確認します。
・交通状況
・車両の損傷状態
・路面状況
・天候
こうした条件を総合的に判断しながら、作業方法を決めていきます。
例えば交通量の多い道路では、二次事故を防ぐために発炎筒やコーンをどこに設置するか、救援車両をどの位置に停車させるかを瞬時に判断する必要があります。
周囲を走行する車の流れや視界の状況を見ながら、安全に作業できる環境を作ることが重要になります。
さらに車両の状態によっては、使用する機材の扱い方も変わります。
車の重量や損傷状況に応じて、ウインチやクレーンをどの角度から使うのが安全かを判断しなければなりません。
このとき現場の地面の状態や機材の負荷、ワイヤーの張り具合なども確認しながら作業を進めます。
こうした判断には、マニュアルだけでは対応できない経験や現場感覚が必要になります。
また、現場では安全と作業効率のバランスを取ることも重要です。
例えば、お客様が急いでいる場合でも、作業に危険があると判断すれば作業を一時中断したり、別の方法を提案することもあります。
安全確保を最優先にしながら、現場の状況に応じた最善の方法を選ぶことが求められるのです。
さらに近年は、電気自動車(EV)やハイブリッド車など、車両技術も多様化しています。EVや自動運転の普及によって、ロードサービスの役割がどのように変化していくのかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
内部リンク:EV・自動運転時代のロードサービスの将来性
特にEVやハイブリッド車は、車種によって高電圧部品の配置や救援手順が異なります。
そのため事故車の場合は、漏電のリスクなども考慮しながら作業を行う必要があります。
このようにロードサービスの現場では、
・安全確保
・機材操作
・顧客対応
といった複数の要素を同時に判断しながら作業を進めます。
そのため現場業務では、安全確保・法令遵守・顧客対応を同時に成立させる高度な判断力が必要とされています。
このような複雑な判断を現場で瞬時に行う仕事は、現時点のAIでは完全に代替することが難しいといわれています。
3. ロードサービスは「人を安心させる仕事」
ロードサービスの仕事は、車のトラブルを解決することだけではありません。
困っている人に安心を届けることも、大切な役割です。
車の故障や事故に遭った人は、強い不安や焦りを感じています。
夜間の高速道路や見知らぬ場所でのトラブルであれば、その不安はさらに大きくなります。
そのような状況で現場に到着したスタッフの対応は、お客様の安心感に大きく影響します。
トラブルの原因を分かりやすく説明し、落ち着いて対応することで、顧客の心理的な不安を和らげることができます。
このような人間同士のコミュニケーションや安心感の提供は、AIでは簡単に代替できるものではありません。
内部リンク:ロードサービスのやりがいとは?感謝される理由と対人スキルが評価される理由
4. AIやデジタル技術は仕事を奪うのではなく支援する
AIやデジタル技術は、ロードサービスの仕事を奪うものではありません。
むしろ現場の仕事を効率化するためのツールとして活用されています。
例えばロードサービスの現場では、次のような技術が使われています。
・GPSによる最適配車
トラブルが発生した場所に最も近い救援車両を自動で割り出し、現場到着までの時間を短縮します。
・デジタル報告システム
作業内容やトラブル状況をその場で記録・共有できるため、報告業務の効率化や情報管理に役立っています。
・故障診断ツール(OBDⅡスキャンツール)
車両のコンピュータ情報を読み取り、故障の原因を素早く特定することができます。
こうした技術によって、現場到着までの時間を短縮したり、トラブル原因の特定を早めたりすることが可能になります。
つまりロードサービスの現場では、AIやテクノロジーは人間の仕事を奪うものではありません。
現場で働く人の判断や作業を支える「道具」として活用されています。
5. 災害時に社会を守る「見えないインフラ」としてのロードサービス
ロードサービスは、日常のトラブル対応だけでなく、災害時にも重要な役割を担います。
地震や豪雨などの大規模な災害が発生すると、道路上には事故車両や放置された車両、冠水した車などが残されることがあります。
これらの車両は、救急車や消防車、警察車両、さらには支援物資を運ぶトラックの通行を妨げる原因になります。
そこで必要になるのが、車両を移動させて道路を確保する「道路の啓開作業」です。
道路の啓開とは、災害によって通行できなくなった道路から障害物を取り除き、緊急車両や支援車両が通行できる状態にする作業のことです。
引用元:道路啓開計画 – 国土交通省
道路が確保されなければ、救助活動や物資輸送は進みません。
そのためこの作業は、災害復旧の初期段階で非常に重要な役割を持っています。
ロードサービス事業者やレッカー事業者は、自治体や警察と連携しながら、被災車両の移動や撤去作業に協力することがあります。
こうした活動によって、救助活動や復旧作業を支える道路環境が整えられていきます。
普段は目立たない仕事ですが、ロードサービスは社会の交通インフラを支える「見えないインフラ」として重要な役割を果たしているのです。
6. まとめ
AIの進化によって、将来性に不安を感じる仕事も増えています。
しかしロードサービスは、AI時代でも必要とされ続ける可能性が高い仕事です。
その理由は次の通りです。
・物理的な車両トラブルはなくならない
・現場ごとの判断力が必要
・人の不安を支える接客力が重要
・災害時には社会インフラとして機能する
ロードサービスは、AIやテクノロジーを活用しながら、人間にしかできない現場対応を行う仕事です。
トラブルで困っている人を現場で直接支える仕事だからこそ、AI時代でも社会に必要とされ続ける職業といえるでしょう。