もくじ
1. 「写真が不鮮明なので、再撮影をお願いします」
レッカー業界で15年働いて、最も時間を無駄にしていると感じるのが「保険会社からの写真の撮り直し依頼」です。
現場で撮影した写真を保険会社に送ったら、数日後に連絡が来る。
「損傷部分がよく見えないので、別の角度から撮り直してください」
「全体像が分からないので、引きの写真もお願いします」
でも、そのときにはもう車両は修理工場に運ばれている。
再度現場に行って撮り直す。
この二度手間が、どれだけの時間と労力を奪っているか。
実は、保険会社が求める写真には明確な「型」があります。
この型を知っているかどうかで、作業効率が劇的に変わるのです。
2. 保険会社が写真を求める理由
まず、なぜ保険会社は写真を求めるのか。
理由はシンプルです。
保険金の請求があった物件を1件1件すべて見て回る余裕が、保険会社にはありません。
したがって小規模な事故の場合、写真によってその被害を把握して保険金が妥当な金額かを確認します。
引用元:hello-hoken「プロ直伝!火災保険の請求で提出する写真の上手な撮り方」
つまり、写真は保険会社にとって「現場に行かずに状況を把握するための唯一の手段」なのです。
だからこそ、必要な情報がすべて写っていないと、撮り直しを求められます。
3. 保険会社が求める3種類の写真
保険会社が必ず確認したいのは、以下の3種類の写真です。
種類1:全体が写っている写真
事故車両の全体像を、複数の角度から撮影します。
車両のナンバープレートも必ず写してください。
この全体写真がないと、保険会社は「どの車両か」「損傷の規模」を把握できません。
種類2:損傷した部分の写真
損傷箇所をクローズアップで撮影します。
複数の角度と距離を撮影して、損傷の程度を明確に把握できるようにします。
引用元:同上
傷が小さくても、必ずアップで撮影してください。
保険金の算定に直結します。
種類3:事故現場の全景写真
車両だけでなく、事故が起きた場所の全景も撮影します。
これには、車両の位置、道路上のスリップ痕、交通標識や信号、その他の関連する周囲の状況が含まれます。
4. 一発OKをもらう撮影の5ステップ
では、具体的にどう撮影すれば、保険会社から一発OKをもらえるのか。
5つのステップに分解して解説します。
ステップ1:安全確保と撮影許可
撮影前に必ず安全を確保してください。
交通の危険になるような状態は、早急に解消しなければいけません。
引用元:舞鶴法律事務所「交通事故の現場では現場写真を撮るなどしておくべき」
また、可能であれば依頼者に「保険会社提出用に写真を撮影します」と一言伝えましょう。
トラブル防止になります。
ステップ2:全景を4方向から撮影
車両の全景を、前後左右の4方向から撮影します。
このとき、車両全体がフレームに収まるように、少し離れた位置から撮影してください。
撮影のポイントは、「1枚の写真で車両の全体像が分かる」こと。
ナンバープレートは必ず1枚以上の写真に写るようにします。
ステップ3:損傷箇所をアップと引きで撮影
損傷箇所は、必ず「アップ」と「引き」の2パターンで撮影します。
アップ:傷の詳細が分かるように、できるだけ近づいて撮影 引き:損傷箇所が車両のどの部分にあるかが分かるように、少し離れて撮影
この2パターンを撮影することで、保険会社は「どこに、どの程度の損傷があるか」を正確に把握できます。
ステップ4:周辺環境を撮影
事故現場の周辺環境も撮影します。
特に重要なのは以下の要素です。
道路標識や信号機 路面の状況(スリップ痕、段差、穴など) 周囲の建物や障害物 天候の状況(雨、雪、霧など)
これらの情報は、事故の原因究明や過失割合の算定に使われます。
ステップ5:撮影枚数は「多めに」が鉄則
今はデジタルカメラでの撮影が一般的であり、フィルム式カメラと違って多数撮影しても特にコストは増えないので、上記3点に気を付けつつ、多めに写真を撮って、しっかりと記録を残すと良いと思います。
引用元:高崎の山本総合法律事務所(同上)
目安は、1件の事故につき20枚以上。
「これは不要かな」と思う写真でも、念のため撮影しておきましょう。
後で「やっぱり必要だった」となっても、時すでに遅しです。
5. スマホ撮影の3つのコツ
最近はほとんどの隊員がスマホで撮影していますが、スマホ特有のコツがあります。
コツ1:HDRモードをオンにする
スマホのHDR(ハイダイナミックレンジ)モードをオンにすると、明るい部分と暗い部分の両方がきれいに写ります。特に逆光での撮影で効果を発揮します。
コツ2:グリッド線を表示する
スマホのカメラ設定で「グリッド線」を表示すると、水平・垂直が保たれた写真が撮れます。斜めに傾いた写真は、保険会社に「雑な印象」を与えます。
コツ3:ズームは使わず、自分が動く
スマホのデジタルズームは画質が劣化します。
ズームを使わず、自分が被写体に近づいて撮影しましょう。
ただし、安全第一です。
6. 撮影後の管理も重要
撮影した写真は、適切に管理することも重要です。
管理方法1:撮影日時を確認
スマホで撮影すると、自動的に日時情報が記録されます。
この情報が正しいか確認してください。
スマホの日付設定がズレていると、後でトラブルになります。
管理方法2:依頼番号でフォルダ分け
撮影した写真は、依頼番号ごとにフォルダ分けして保存します。
「202501-001」のように、年月と通し番号で管理すると分かりやすいです。
管理方法3:クラウドバックアップ
スマホの故障や紛失に備えて、GoogleドライブやiCloudに自動バックアップする設定にしておきましょう。
7. 絶対にやってはいけない3つのNG
最後に、絶対にやってはいけないNG行動を3つ共有します。
NG1:個人情報を写し込む
車内に置かれた書類、ダッシュボードの私物など、依頼者の個人情報が写り込まないように注意してください。保険会社に送る前に、必ず確認しましょう。
NG2:修理後に撮影
修理や清掃をした後では、元の損傷状態が分かりません。
なるべく事故直後の状態を写真にして保存しておくべきです。
引用元:高崎の山本総合法律事務所(同上)
NG3:写真の加工
明るさ調整程度なら問題ありませんが、損傷部分を強調したり、不要な部分を削除したりすると、証拠能力が失われます。
撮影したままの状態で提出してください。
8. 保険会社との信頼関係を築く
写真撮影は、単なる事務作業ではありません。
保険会社との信頼関係を築く重要なコミュニケーションです。
「この会社の写真はいつも完璧だ」と評価されれば、査定がスムーズに進み、支払いも早くなります。
逆に、「いつも撮り直しを依頼しなきゃいけない」と思われると、査定に時間がかかり、顧客満足度も下がります。
一発OKをもらう写真の撮り方は、技術ではなく「型」です。
この型を覚えて、毎回同じように撮影する。
それだけで、作業効率が劇的に向上します。
あなたの会社では、写真撮影のマニュアルがありますか?もしまだなら、今日から「撮影チェックリスト」を作ってみてください。
それが、保険会社から一発OKをもらう第一歩です。