1. 見えない=死ぬ、という現実

深夜の高速道路で作業中、背後から「キィィ ッ!」という急ブレーキの音が聞こえました。

振り返ると、トラックが目の前で停止。

ドライバーは窓から顔を出し「全然見えなかった!なんで光るもの着てないんだ!」と怒鳴りました。

私は作業服を着ていました。

でも、それは普通の作業服。

反射材もなく、色も紺色。

夜間の高速道路では、ほぼ見えなかったのでしょう。

レッカー業界で15年、最も恐れているのが「後続車による追突」です。

日本では毎年約1,000名が車両事故に遭遇している事実もあり、安全服の重要性が認められてきています。

引用元:e-UNIFORM「高視認性安全作業服って何?」 

関連記事:「1人作業での安全確保。後続車に突っ込まれないための『発炎筒+LED』配置理論」でも夜間作業の安全対策について触れていますが、今回は作業服そのものの視認性に焦点を当てます。

2. 高視認性安全服とは何か

高視認性安全服とは、見落とされるリスクの高い状況で、着用者の視認性を高めることを目的とした衣服です。

蛍光色の生地と再帰性反射材を使用して、昼夜問わず安全を確保できるように設計されています。

引用元:同上

この世界に自然に存在しない蛍光色で注意を引き、夜間には再帰反射を利用し自動車のライトの光をそのまま反射させることで、着用する人の安全性を上げます。

3. なぜ「蛍光イエロー」が最適なのか

高視認性安全服には、蛍光イエロー、蛍光オレンジ、蛍光レッドの3色があります。

では、どの色が最も視認性が高いのか。

結論を先に言うと、反射ベストの色は総合的に考えて「蛍光イエロー」がベターだと思われます。

引用元:東京~大阪キャノンボール研究「夜間走行におけるウェア色の『見えやすさ』の違い」 

理由は2つあります。

まず、人間の目は黄色から緑色の光に対して最も感度が高いためです。

さらに、薄暗い光でも「何かいるな」と認識できる夜間の視認性が高い色だからです。

赤色は昼は目立ちますが、暗い夜道では彩度の高い赤でも目立ちにくくなります。

昼と夜とでは、目立ち方が違うことを覚えておいてください。

4. 視認距離の衝撃的な違い

では、高視認性安全服を着用すると、どれくらい視認距離が変わるのか。

自動車のヘッドライトを下向きにした場合、ドライバーが歩行者を視認できる距離は以下の通りです。

黒い服:26メートル

明るい服:38メートル 反射材付き:最低でも57メートル

引用元:ユニチカスパークライト(同上)

自動車が歩行者を発見して停止できるまでの距離は、時速60キロの場合44メートルです。

ということは、明るい服装でも危険だということです。

反射材を身につけていれば、早く歩行者を見つけることができ、時速60キロでも歩行者の手前で停止することができます。

5. 「疲れない」安全服の3つの条件

視認性だけでなく、長時間着用しても疲れないことも重要です。

隊員に選ばれる安全服の条件を3つご紹介します。

 

条件1:軽量である

重い作業服は、長時間の作業で疲労を蓄積させます。

高視認性安全服の中には、軽量且つ伸縮性に優れたサマー裏綿素材を使用しているものがあり、体の動きにフィットし快適に作業をおこなうことができます。

引用元:空調服ドットコム「本当は面白い作業服の豆知識『高視認性作業服』について」 

目安は、1着あたり500グラム以下。

これなら、1日中着ていても肩が凝りません。

 

条件2:通気性が良い

夏場のレッカー作業は、高温多湿の環境で行われます。通気性の悪い作業服では、熱中症のリスクが高まります。

高視認性安全服でありながら、吸汗速乾、通気、ストレッチ機能を備えたものを選びましょう。

最近では、空調服タイプの高視認性安全服も登場しています。

条件3:動きやすい

レッカー作業は、屈んだり、腕を伸ばしたり、様々な姿勢を取ります。

伸縮性のない作業服では、動きが制限され、作業効率が落ちます。

ポリエステル混紡でストレッチ性のある素材を選ぶと、体の動きを妨げません。

6. JIS規格とクラスの選び方

高視認性安全服には、JIS T 8127という規格があります。

この規格では、想定されるリスクのレベルに応じてクラス1から3まで用意されており、蛍光素材・反射材の面積、取り付け位置などがそれぞれ規定されています。

  • クラス1:低リスク環境(駐車場整理、倉庫作業など)
  • クラス2:中リスク環境(一般道での作業)
  • クラス3:高リスク環境(高速道路での作業)

レッカー業の場合、一般道ならクラス2、高速道路ならクラス3を選ぶべきです。

「安いからクラス1でいいや」という判断は、命に関わります。

7. 再帰性反射材の配置が重要

高視認性安全服の効果は、反射材の配置で大きく変わります。

理想的な配置は、360度全方向からの視認性を確保できるものです。

具体的には、腕、胸、腰、膝にリフレクターを採用し、着用者のあらゆる動きに対し全方向から認識可能な設計になっているものです。

引用元:ミドリ安全「高視認の安全作業服・レインウェア・安全作業靴」 

前から見たときだけ光る作業服では不十分です。

後ろから、横から、どの角度からも反射する配置を選んでください。

8. メンテナンスの落とし穴

高視認性安全服は、適切にメンテナンスしないと、その性能が劣化します。

 

注意点1:柔軟剤の使用禁止

柔軟剤の使用により反射性能が劣化しますので、使用しないでください。

 

注意点2:酸・アルカリ・油の付着

酸やアルカリの化学薬品の付着で変色します。汚れ、汗など水分が固着したままで放置すると変色及び、ガラスビーズの剥離が発生する場合があります。

 

注意点3:定期的な効力確認

職場の環境、着用頻度、洗濯方法、保管方法で差異がございますが、製品の劣化については各職場において定期的に蛍光生地と再帰性反射材の効力をご確認願います。

引用元:同上

 

目安は、6ヶ月ごとに反射材の効力を確認し、1年ごとに交換を検討してください。

9. 実際に隊員が選んだ安全服

ある中堅レッカー会社では、隊員に高視認性安全服を支給したところ、以下のような変化がありました。

 

変化1:後続車からのクラクションが減った

「前は、気づかれずにクラクションを鳴らされることが月に数回あったが、高視認性安全服にしてからゼロになった」

 

変化2:作業中の緊張感が減った

「後ろから車が来ても、相手が確実に気づいてくれるという安心感がある。作業に集中できる」

 

変化3:疲労感が軽減

「以前の作業服は重くて、夏は暑かった。今の軽量で通気性の良い高視認性安全服は、1日着ていても疲れない」

10. まとめ:命を守る投資

高視認性安全服は、1着あたり5,000円から15,000円程度。

決して安くはありません。

でも、これは命を守る投資です。

選ぶべきポイントは5つです:

  1. 色は蛍光イエローが最適
  2. JIS規格に適合し、クラスは作業環境に合わせる
  3. 軽量・通気性・ストレッチ性を重視
  4. 360度全方向から反射する配置
  5. 定期的なメンテナンスと交換

視認距離が26メートルから57メートルに伸びる。

この31メートルの差が、あなたの命を救います。

あなたの会社では、隊員全員に高視認性安全服を支給していますか?もしまだなら、今すぐ検討してください。

次の出動が、夜間の高速道路かもしれません。

その時、あなたを守るのは、この蛍光イエローの作業服です。