「発信ができない会社は、残っていかない」
プロフィール

代表取締役 上西 浩二
株式会社UEST SERVICE(ウエストサービス)(大阪府高槻市)
株式会社UEST SERVICE 代表取締役。2011年、大阪・高槻で1人でロードサービスの仕事を始め、現在は高槻・茨木・吹田・箕面・摂津から寝屋川・枚方・交野まで、北摂・北河内エリアの車とバイクの救援に24時間365日体制で対応する会社に育てた。自ら顔と会社名を出して、SNSでの発信を続けている。
この社長の答え、3行で
- 人が来ないのは、業界が知られていないから。求人の文字と写真1枚では、何の仕事か分からない
- 本人が気づいていない「得意」を見つけて伸ばす。だから辞めない
- 発信のキャッチボールができる会社が残る。業界の中身を、もっと見せていく
会社情報
- 会社名
- 株式会社UEST SERVICE(ウエストサービス)
- 所在地
- 大阪府高槻市柱本1丁目84番地
- 公式サイト
- uestservice.com/
- 24ROADの求人
- ロードサービススタッフの募集要項を見る
Chapter 1いま、この業界で起きていること
業界の担い手不足と高齢化について
インタビュアー:担い手不足や高齢化を、現場でどう感じていますか。原因はどこにあると思われますか。
担い手不足の原因は、おそらくですが、この業界自体が認知されていないこと。まず、そこだと思います。求人に関しても同じで、求人を出したとしても文字と、たとえば写真1枚だけ。いったい何をしている仕事なのか分からない状態なので、それがいちばん、人が入ってこない原因なのかなと思っています。
正直に申し上げると、これまでの求人媒体で募集をかけた場合、反応はほぼありません。
だからこそ、この業界を認知していただくためには、発信していくしかない。発信することによって、たとえ1人でも2人でも、それを分かってくれる方がいれば、それでいいと思っています。
業界に足りないものは、やはり発信力です。個社個社が発信していただけたら、すごく大きなものになる。それが認知につながり、認知していただければ興味を持つ方が出てきて、その方が調べてくれる。こちら側は、そのときに応えられる状態を作っておく。調べたときにホームページがあり、アカウントがあり、動画がある。作業の風景は出せないところもありますが、できるだけガラス張りにして、どういうことをしているのかを見せていく。発信させていただくことが、いちばん大事だと思います。
路上作業の安全について
インタビュアー:路上作業で、いちばん危険を感じるのはどんな場面ですか。御社が徹底していることを教えてください。
一言で危険な場面と言っても、多々あります。高速道路、一般道路、事故現場。落車しているところ、法面に落ちている場面。作業そのものの危険度と、あとは後続車、後ろから来る危険。
まず私が言うのは、作業する前に必ず自分の身を守る策をとってから仕事をしましょう、ということ。ここは徹底しています。
何より、いちばん大事にしているのは共有です。作業には当然行きます、帰ってきます。ただ、個々に危険度というものは違うんです。何が危ないかという感覚が、人によって違う。だから、今日こういう現場があってこう感じた、「いや、俺もそこ行ったけどこうやったよ」という話し合いがあって、共有してこそ、危険度はどんどん減っていくと思っています。そこから「こういうものがあれば安全に仕事できるよね」というツールの話になる。ツールを選ぶのはみんなで、私は買うだけです(笑)。
研修の段階では、必ずやらないといけないことを徹底的に指導します。ラバーコーンや矢印板を設置して、後方警戒につなげる。夜間と昼間で危険度が変わることも研修で説明して、ある一定のレベルまでは必ず確保できるようにしています。その先は、話し合いと経験で安全を高めていく。そこに力を置いています。
Chapter 2信頼と、仕事のほんとうのところ
業界の信頼をどう守るか
インタビュアー:一部の業者による高額請求などで、まじめにやっている会社まで含めて業界全体が疑われることがあります。この状況をどう受け止め、信頼をどう守っていきますか。
正直なところ、そうした高額請求をする業者に当たってしまったというお客様に、実際にお会いしてお話ししたこともあります。そういう事業者はなくならないのだろうかと疑問には思うのですが、やはり、そういうことをする人はするんですよね。悲しいことですが。
予防策として私たちが発信できることは、小さな積み重ねになりますが、こうやってSNSで発信することです。当然、私は顔も出しています。会社名も出しています。お客様がトラブルにあったときに、SNSを見ていただき、この地域でレッカーやロードサービスを調べていただいたら出てくる事業者がある。顔を出して、会社名も出していれば、少しでも安心していただけるのではないか。きっちりと出しているところを参考にしていただけたら、多少は防げるのかなと思いますし、そのために私も出させていただいています。
料金についても、決めていることがあります。まずお客様が保険に加入されているかどうかをお聞きして、ヒアリングをしたうえで、保険に入っていない、何もないという場合は、料金のご説明をして、了承を得たうえで出動します。キャンセルが発生する場合もありますが、キャンセルの場合はいくらですと、すべて説明したうえで了承いただかないと、私たちも出られません。そこは徹底しているので、その辺のトラブルはないと思っています。
信頼という意味でも、やはりこうやって発信して、出ていくことだと思います。
「きつい仕事」というイメージとどう向き合うか
インタビュアー:ロードサービスは「きつい仕事」というイメージを持たれがちです。実際はどうですか。そのイメージにどう向き合っていますか。
これも人それぞれの捉え方だと思いますが、私自身で言うと、私は1人でこの仕事を始めていますから、何がきつかったかというと、いつ電話が鳴って呼び出しがあるか分からないところが、いちばんきつかったです。ご飯を温めて「今から食べるぞ」というときに電話が鳴る。食べられません。その積み重ねがすごくストレスになって、つらかった思いがあります。
だから、そういう思いはさせないように、会社としては心がけています。それでも、どうしてもそういうタイミングはあります(笑)。これは私たちだけではなく、警察でも消防でも救急でも同じだと思いますし、よく似ているなと思うときもあります。ただ、そのストレスを乗り越えた先の現場には、すごく良いドラマがあったり、感動することもある。そこは乗り越えていただきたいところでもあります。
今の会社の形としては、できるだけそういうことをなくすように、みんなで交代で行っています。ご飯はご飯の時間をちゃんと作るようにしていますし、夜勤の方はどうしても寝られない時間はありますが、昼はちゃんと休んでいただいています。その辺はあまり心配ないと思います。
社員に何がしんどいか聞くと、これも人それぞれですが、雨が嫌いな人がいます。何かというと、カッパを着るのが嫌な人。カッパを着るくらいなら濡れた方がいいという人もいるのですが(笑)、それはちょっとやめてほしい。お客様の車もレッカー車も濡れてしまいますし、何より風邪を引きますから。
EV化など技術の変化と、これからの業界像
インタビュアー:EVや新しい技術で、この仕事はどう変わっていくと思いますか。どんな会社、どんな人が残っていくでしょうか。
EV化と一言で言いますが、その前にはハイブリッド車の波もありました。日本において、EV化の波は確かに来ています。ただ、それが化石燃料の車を追い越すのはいつなのか。そこをまず見ていかないといけないと思っています。軽自動車などはほぼガソリン車ですし、今の車を手放してまでEVに乗り換える人が何人いるのか、という話です。スパンで考えるなら、5年、10年という形でしか見えてこないと思います。
そこに行くまでの設備の準備は必要だと思いますが、知識は先に持っておかないといけない。少なからず電欠の案件は入ってきていますので、それに対する知識、技術は常に勉強していかないと、この業界では残っていけないと思います。私たちも常にアンテナを張って見ていますので、今のところは心配ないと思っています。
Chapter 3会社のつくり方と、これから
人が集まり、辞めない会社をどうつくるか
インタビュアー:人が集まる会社、そして辞めない会社を、どうつくっていますか。特に「辞めない」ために意識していることを教えてください。
なぜ辞めるのか、というところを考えました。働いている方が辞めようと思う理由には、いくつか問題点があると思います。すぐにどうにかできるものと、できないものがある。何よりも人間関係、これはものすごく大きい。人間関係はすごく複雑で、人に刺さる言葉は、実は皆さん違う。同じ言葉でも刺さる人もいれば、刺さらない人もいます。それを探していくのはすごく時間がかかることなので、その人を見ながら付き合っていこうと思っています。
辞めないようにするにはというところで言うと、働いている方には得意分野と不得意分野があります。一度勤めていただくと、ある一定のレベルまでは研修で身につきます。一人立ちできるようになって、一人で現場に行く。そうなると、得意な作業と不得意な作業が出てきます。不得意とはいえ一定のレベルはクリアしているので、仕事はこなしてくる。そのときに、得意なところをすごく伸ばしてあげるようにしています。そこを中心に伸ばしてあげると、その子がすごく伸びてくるんです。
ただ、見分けないといけないところがあって、本人は得意だと思っていないんです。周りから見たら得意なのに、「それ、できてるよ」という気づきが本人にない。普通にしているつもりで、誰よりも上手くできていたりする。そこを見てあげて、伸ばしてあげる。逆に、本人は好きだけれど、好きなだけでできていないというときもある。その発見というか、気づきを気づかせてあげるところに、私は注意を置いています。気づいたとき、本人は「え、僕ってそんなことできてたの?」と、すごく楽しくなっていく。そこを重点的にしています。
研修期間中に、この仕事に合わない、ということはやはりあります。でも、合わないというのは私たちの判断であって、本人の判断ではない。本人がしたいのに「自分は合わないよね」というのは、少し違うと思っています。私たちが判断したうえで、作業がすごく苦手、でも本人はすごく好きだとなったときには、そういうポジションを与えます。辞めてもらう、ではないです。うちで言えば、現場には行くけれど運ばない、サービスカーだけ、というポジションもあります。
そうしていかないと人は残っていかないですし、会社もたぶん伸びない。その子の伸ばせるところを伸ばしてあげてこそ頑張れる。誰かの役に立っているという実感がないと、仕事はやっぱり続かないと思います。
社員との距離感を意識しているかと聞かれると、正直に申し上げます、ないです。もし「この人にこう近づいていこう」と思ってやっているのなら、この関係性は築けていないと思います。近づこうとも、離れようとも思っていない。自然にそうなっているだけだと思います。
この業界は将来どうあるべきか
インタビュアー:10年後、この業界はどうあるべきだと思いますか。そのために何をすべきでしょうか。
10年後と言わず、20年後、30年後、もっと先を見た方がいいと思っています(笑)。先を見据えて動いていかないと、なかなか前には進めません。
10年後で言うと、やはり認知度です。認知度を高めることによって、もう少し可視化して、中身を見せていく。もう、見ていただきたいです。本当に。見ていただいた中で、求職者の方が求めるものがある。それを私たちがいかにアンテナを張って受け取り、いかに発信するか。そのキャッチボールが必ず必要になってきます。そのキャッチボールができる会社は残っていくと思います。発信ができない会社は、残っていかないと思います。
私自身、今まで足踏みしていたところもあります。このままではこの業界のレベルが上がらないと思ったこともあります。先輩方もたくさんおられますし、素晴らしい会社もたくさんあります。それでもイメージというところが大きいので、それを変えていくにはクリーンであること。クリーンはイコール、クリア。もう少し業界の中を見せていかないといけない。働き方であったり、簡単なところで言えば服装であったり、毎日どんなご飯を食べているのかでもいい。隊員がどんな車に乗っているのか、バイクに乗っているのか。それも発信の一つだと思っています。