「ロードサービスの仕事で、本当に年収1000万円なんて可能なのか?」

求人票に高い数字が並んでいると、

「結局、かなり無理をしないと届かないのでは」

「体を削る働き方なのでは」

と感じる人も多いでしょう。

今回は、ロードサービス会社の社長に、業界の給与体系の実態と、高収入といわれる人たちがどのような働き方をしているのかを伺いました。
結論から言うと、1000万円プレイヤーは実在しますが、会社によって「歩合で稼ぐか」「基本給で安定させるか」の戦略が全く異なります。

数字だけでは見えにくい、現場の話をお伝えします。

1. 「高年収=ブラック」という見方について

まず、業界の給与体系についてです。

ロードサービス業界では、インセンティブ(歩合制)を採用している会社が多くあります。

「1件いくら」という形で、忙しい時期には収入が増えやすい一方、依頼が少ない時期には大きく下がる。

そうした波のある働き方をしている人もいます。

社長は、他社の事例についてこう話します。

「他社さんはインセンティブ制が多いですね。
一部では、売上の一定割合をインセンティブとする仕組みもあると聞きます」

数字だけを見ると、確かに魅力的に見えます。

ただ、社長はその仕組みに懸念も感じていました。

「うちはインセンティブはつけていません。
基本給を上げていく方がいいと思っているので」

理由について、こう続けます。

「歩合が強くなると、どうしても無理をしやすくなるんです。
判断が難しい現場でも、収入面を考えて無理をしてしまうことがあるのではないか、と感じています。

疲れていても、もう1件やろうとしてしまうこともあると思います」

目先の収入を優先した結果、判断が鈍り、事故やトラブルにつながることもあります。

社長は、そうしたリスクを避けたいと考えています。

最近は、求職者側も求人票を冷静に見るようになっています。

「歩合で高収入」と書かれている場合、

「基本給が低く、実際は負担が大きいのでは」

と考える人も少なくありません。

そのため、社長の会社では、インセンティブをなくし、基本給そのものを高くする形を選んでいます。

収入を安定させたうえで、長く働ける環境を作るという考え方です。

2. 効率化は、無理をするためではない

「それでも、高収入の人はかなり無理をしているのでは?」

そう感じる人もいるかもしれません。

実際に売上が高い隊員の話を聞くと、「安全に停車したうえで、車内や休憩スペースで短時間に食事を取ることもあります」という声が出てきます。

一見すると大変そうに聞こえますが、実態は少し違います。

「依頼が重なる時間帯もあるため、休憩は交代制で確保しつつ、ピークを避けて食事を取る工夫をしています。急な依頼で対応が必要になった場合は、その時間は休憩として扱わず、別の時間に取り直す運用です」

無理をして削っているのではなく、あくまで休憩は確保したうえで、時間帯を工夫しているということでした。

待機場所についても同様です。

SA・PAや事務所、提携先など、許可された安全な場所を選んで待機します。

曜日や時間帯、天候によって動き方は変わりますが、それもすべて法令遵守と安全確保が前提です。

社長はこう話します。

「無理をするということではありません。安全と体調を最優先にした上で、少しでも早くお客様のもとに向かえるよう工夫しているだけなんです」

収入を増やすために無理をするというよりも、安全を前提にした効率的な判断の積み重ねが、結果として数字に表れている形です。

3. 年齢と収入の関係について

「今はいいとしても、年を取ったら稼げなくなるのでは」

そう不安に思う人もいるでしょう。

この点について、社長はこう話します。

「道具をきちんと使えば、体力はそこまで関係ないですよ。油圧がやってくれますから」

今のロードサービスは、力仕事よりも、道具の使い方や手順の理解が重要です。

「力を使う場面は多くないですね。道具が揃っていれば、無理なく作業できます」

また、年齢を重ねることで得られる部分もあります。

「手に職がある仕事なので、長く続けられます。経験がある人は判断も早いですし」

社長の会社では、将来的に指導や管理に回る道も考えています。

「自分も年を取りますから。現場を見ながら教える役割も必要になってきます」

現場作業だけでなく、経験を活かすポジションが用意されている点も特徴です。

4. 実際の給与水準について

「実際、どれくらいもらえるのか?」

この質問に対して、社長は具体的な数字を挙げてくれました。

「大手から来た人の年収を見ると、良い年で650万円くらい、少ない年でも620万円前後でした」

これが、ベテラン隊員の一例です。

「一般的な会社員と比べると、決して低くはないと思います。
仕事も安定して入りますし、家にも帰れます」

資格や免許による評価もあります。

「大型免許があれば、手当がつくようにしています」

繁忙期と閑散期で多少の差はありますが、基本給があるため、生活が大きく揺れることはありません。

5. 年収1000万円はどうなのか

年収1000万円を超える人がいるのは事実です。

ただし、それは一時的な結果ではなく、日々の判断や働き方の積み重ねによるものです。

無理な現場を避け、判断を優先できる。

そのための仕組みとして、基本給を重視している会社もあります。

「毎月大きく上下する収入」よりも、「安定した水準で続けられる収入」。

どちらが自分に合うかを考える材料として、この記事の内容を役立ててもらえればと思います。