「きつい・汚い・危険」。
いわゆる3Kの仕事と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
ロードサービスの仕事も、一般的にはこの3Kに当てはまる職種です。
それでも、この仕事を選び、続けている人たちがいます。
なぜ彼らは、あえて過酷な現場に立ち続けるのでしょうか。
今回は、ロードサービス会社の社長に話を伺い、業界のリアルと、この仕事の価値について率直に語ってもらいました。
もくじ
1. ロードサービスの「3K」、その実態
ロードサービスの仕事は、一般に言われる3Kの要素をすべて含んでいます。
きつい
24時間365日対応が基本で、世間が休みの大型連休ほど出動は増えます。
深夜の呼び出しや、1件の対応が長時間に及ぶことも珍しくありません。
汚い
事故車から漏れるオイル、雨の日のぬかるんだ路面。
作業を終えた頃には、服も靴も汚れているのが当たり前です。
危険
最も神経を使うのが、高速道路の路肩での作業です。
すぐ横を、時速100km以上の車が走り抜けていきます。
社長は、高速道路での作業についてこう話します。
「高速道路は、慣れないです。ほんまに。
慣れたと思った瞬間が一番怖い。
僕でも毎回緊張しますし、絶対に背中は見せない。
車が突っ込んでくる可能性は、常に頭にあります」
2. それでも続ける理由「唯一の頼みの綱」になる仕事
では、なぜそこまでして続けるのか。
社長の話から見えてきたのは、この仕事ならではの役割でした。
ロードサービスは、単に車を動かす仕事ではありません。
事故や故障で立ち尽くしている人にとって、現場に現れる隊員は「唯一の頼みの綱」です。
どうしていいかわからない状況の中で、「大丈夫ですよ」と声をかけ、状況を整理し、解決へ導く。
感謝されるのは、作業そのもの以上に、その場を収束させたことに対してです。
困っている誰かに、強く必要とされる。
その実感があるからこそ、汚れた作業着も「やった証」になる。
社長自身、そうした場面に何度も立ち会ってきました。
3. 「技術」よりも大事なのは、慎重さ
車が好き、機械が得意。
もちろんそれも大切ですが、社長は別の適性を挙げます。
「危険をスリルとして楽しむ人は、長く続かないです。
ちゃんと怖がれる人じゃないと無理ですね」
高速道路での作業では、数十センチの立ち位置の違いが命に関わります。
車の流れを読み、常に最悪を想定しながら動く必要があります。
大胆さよりも、慎重さ。
感覚よりも、冷静な判断。
そういった性格のほうが、この仕事には向いています。
4. 業界が目指す「新3K」という考え方
近年、ロードサービス業界でも「給料が高い」「休暇が取れる」「将来に希望が持てる」という「新3K」を掲げる会社が増えてきました。
社長の会社でも、インセンティブ制をやめ、基本給を重視しています。
「歩合制のほうが一時的には稼げます。
でも、安定して働けて、家に帰れることのほうが大事やと思ってます」
ただし、新3Kは「楽な仕事になった」という意味ではありません。
現場は今も厳しく、危険がなくなるわけでもありません。
給与や休みを整えるのは、無理をさせないため、長く続けられる環境を作るためです。
その前提を理解したうえで選ぶ必要があります。
5. この仕事は、なくならない
ロードサービスの需要について、社長はこう話します。
「EVになっても、何になっても、タイヤがついて走る限り、トラブルは起きます」
事故は減ってきている一方で、故障やトラブル対応はむしろ増えているのが現状です。
技術が進んでも、現場で判断し、対応する人は必要とされ続けます。
6. 体力面の不安について
肉体的にきつそう、という印象を持つ人も多いでしょう。
その点については、こう語っていました。
「今は油圧がほとんどやってくれます。
リモコン操作で動かせる作業も多いです。
体力が落ちたから無理、って心配はいらないですよ」
無理に力でどうにかする時代ではありません。
安全に、効率よく作業する仕組みが整っています。
7. この仕事が合う人
ロードサービスの仕事は、誰にでも合うわけではありません。
ですが、次のような人には向いています。
- 非日常のトラブルに冷静に向き合える
- 危険を軽視せず、慎重に行動できる
- 困っている人を放っておけない
- 安定した環境で、長く技術を積みたい
3Kという言葉だけで切り捨ててしまうには、この仕事には独特の価値があります。
自分に合うかどうかを考える材料として、この現実を知ったうえで判断してもらえればと思います。