「基本料金3,980円」そう広告に書いている業者が、実際には30万円請求する。国民生活センターへの相談は2022年度に773件、2023年度には860件と急増しています。
引用元:国民生活センター「インターネットで依頼したロードサービスのトラブル急増」
悪質業者による被害が連日報道される今、私たち真面目に商売をしている業者まで、疑いの目で見られているんです。
電話が鳴る。お客様は車のトラブルで困っている。でも、あなたの声を聞いた瞬間、「この業者、大丈夫かな…」そう不安に思っているかもしれません。
もくじ
1. 業界全体が背負う「疑惑の目」
まず、私たちが直面している厳しい現実を見つめましょう。
消費者庁は2025年3月、大和商会と関東バッテリートラブルセンターという2社を消費者安全法に基づき公表しました。「基本料金1,980円〜」と宣伝しながら、実際には数十万円を請求していたからです。
引用元:朝日新聞「ロードサービスでトラブル相次ぐ2社を公表」
こうしたニュースが流れるたび、お客様の不信感は高まります。「レッカー業者=ぼったくり」そんなイメージが定着しつつあるんです。
真面目に適正価格でサービスを提供している私たちにとって、これは死活問題です。電話を受けた最初の数秒で、「この会社は信頼できる」と思ってもらえなければ、お客様は電話を切ってしまう。そんな時代になっています。
2. 最初の一言が「運命の分かれ道」
深夜2時。高速道路でバッテリーが上がった。スマホで検索して、あなたの会社に電話をかけてきたお客様。
その人は今、不安でいっぱいです。「ぼったくられたらどうしよう」「高額請求されたらどうしよう」そんな恐怖と戦いながら、電話をかけてきているんです。
電話に出た時の最初の一言。ここで勝負は決まります。
「はい、○○レッカーです」
この何気ない応答が、実は最大のチャンスなんです。声のトーン、言葉の選び方、話すスピード。すべてが「信頼」を作る材料になります。
明るく、でも落ち着いた声。「お電話ありがとうございます。○○レッカーサービスの△△と申します。どのようなトラブルでしょうか」
こう言われただけで、お客様の不安は少し和らぎます。会社名を名乗る。自分の名前を名乗る。たったこれだけで、「ちゃんとした会社だ」という印象を与えられるんです。
3. 料金の話は「先に、具体的に、わかりやすく」
悪質業者の手口を知っていますか。彼らは電話では料金を曖昧にしたまま、現場に到着してから高額請求します。
だからこそ、私たちは真逆をいくんです。
お客様の状況を聞いたら、すぐに料金の話をする。これが信頼構築の第一歩です。
「お客様、現在地は○○インターですね。バッテリー上がりの場合、基本料金が8,000円、出張費が距離に応じて加算され、お客様の場合は約12,000円になります。作業時間は到着から15分程度を見込んでいます」
具体的な数字。到着時間の目安。作業にかかる時間。これらを最初に伝えることで、お客様は安心します。
「後から追加料金は発生しませんか?」
こう聞かれたら、チャンスです。「基本的に発生しません。ただし、万が一、現場で想定外の状況があった場合は、作業前に必ずお見積りをお伝えし、ご了承をいただいてから作業いたします」
この「作業前に必ず確認」という言葉が、決定的な安心感を生むんです。
4. 「復唱」という魔法のスキル
電話対応が上手な人は、必ず復唱します。
「確認させていただきます。現在地は○○インター付近、車種はトヨタのプリウス、バッテリー上がりで、お名前は△△様、お電話番号は090-××××-××××でよろしいでしょうか」
この復唱が持つ意味は、単なる確認だけではありません。「あなたの話をちゃんと聞いています」「丁寧に対応しています」というメッセージになるんです。
悪質業者は、お客様の話を適当に聞き流します。急いで現場に向かわせ、後から高額請求する。その手口を知っているお客様にとって、丁寧な復唱は「この会社は違う」という証明になります。
引用元:電話対応が上手い人に共通する特徴は?正しい言葉遣いや上達のコツを解説
メモを取る音も、実は武器になります。電話越しに「カリカリ」とペンで書く音が聞こえると、お客様は「ちゃんと記録している」と感じるんです。
5. 「待ち時間」の伝え方で差がつく
「今から向かいますので、お待ちください」
こう言われたお客様は、不安になります。「いつ来るんだろう」「本当に来るのかな」そんな疑念が湧いてくるんです。
プロの伝え方は違います。
「お客様の現在地ですと、到着まで約25分を見込んでおります。担当の隊員は現在○○付近におりまして、すぐに向かわせます。到着予定時刻は午前2時25分頃になります」
具体的な時間。現在の隊員の位置。到着予定時刻。この三つを伝えることで、お客様は時計を見ながら待てるようになります。
さらに、こう付け加えます。
「万が一、到着が遅れる場合は、必ずこちらからお電話いたします。寒い中お待たせして申し訳ございませんが、車内でお待ちいただければと思います。何かございましたら、いつでもこの番号にお電話ください」
この「何かあったらすぐ連絡して」という言葉が、孤独を感じているお客様の心を温めます。
6. クレジットカード決済の案内で信頼度UP
「お支払いは現金のみでしょうか?」
こう聞かれて、「現金のみです」と答えた瞬間、お客様の不安は急上昇します。なぜか。悪質業者の多くは、現金決済を強要するからです。痕跡を残したくないんです。
「お支払いは現金、またはクレジットカードでも承っております。VISA、Master、JCB、すべて対応可能です。また、ご希望があれば領収書も発行いたします」
この一言で、「ちゃんとした会社だ」という印象が確定します。クレジットカードが使える。領収書を発行する。これは、「正規の取引をしている」証明なんです。
7. 保険の話を積極的にする
悪質業者は、こう言います。「保険会社と提携しているので、全額保険でまかなえます」
これは嘘です。実際には保険が使えず、お客様が全額自己負担することになります。
だからこそ、私たちは正直に伝えます。
「お客様、自動車保険にロードサービスが付帯している可能性があります。もしご不明な場合は、一度保険会社に確認されることをおすすめします。当社でお受けした場合、後から保険請求ができるかどうかは保険会社の判断になりますので、先に確認された方が安心かと思います」
この提案に、お客様は驚きます。「業者の方から保険会社に連絡しろって言うの?」って。
でも、これが信頼なんです。お客様の利益を優先する姿勢を見せることで、「この会社は本物だ」と思ってもらえます。
結果として、お客様は「でも、もう電話したからお願いします」と言ってくれることが多い。無理に仕事を取るんじゃなく、誠実さで仕事を取る。これが長期的な信頼につながるんです。
8. 「不安を先回りする」技術
電話を切る前に、こう付け加えてください。
「お客様、もう一点だけよろしいでしょうか。現場に到着した際、身分証明書を提示いたします。また、作業前に改めて料金をご説明し、ご納得いただいてから作業に入りますので、ご安心ください」
なぜこんなことを言うのか。それは、お客様が不安に思っていることを先に解消するためです。
「変な業者が来たらどうしよう」→身分証を見せます 「料金が変わったらどうしよう」→作業前に再度説明します 「断れなくなったらどうしよう」→納得してから作業します
こうした不安を、電話の段階で一つひとつ取り除いていく。これが、プロの電話対応なんです。
9. 声のトーンとスピードの魔法
技術的なことも少しお話しします。
電話対応で最も重要なのは、実は「声のトーン」です。同じ言葉でも、トーンが違えば受け取り方がまったく変わります。
深夜に電話してくるお客様は、疲れています。不安です。だから、落ち着いた、低めのトーンで話すことが大切です。「大丈夫ですよ」という安心感を、声に込めるんです。
逆に、早口で話すと、お客様は焦ります。「この人、急いでるな」「適当に対応されてるのかな」そう感じてしまいます。
意識的に、ゆっくり話す。一呼吸置いてから次の言葉を発する。このゆとりが、信頼を生むんです。
引用元:顧客満足度(CS)を上げる電話応対が今後のビジネスを左右する
10. 「名前を呼ぶ」という特別な力
電話の途中で、お客様の名前を呼んでいますか。
「田中様、ご安心ください」 「田中様の現在地ですと…」 「田中様、到着しましたらもう一度お電話いたします」
名前を呼ばれると、人は「自分のことを気にかけてくれている」と感じます。単なる「お客様」ではなく、一人の人として扱われている。その実感が、信頼につながるんです。
悪質業者は、お客様を「案件」としか見ていません。だから、名前なんて呼ばない。電話番号で管理するだけです。
私たちは違います。困っている「人」を助ける仕事をしているんです。
11. 記録を残す習慣が会社を守る
最後に、経営者として絶対にやるべきことをお伝えします。
すべての電話対応を記録してください。日時、お客様の名前、トラブル内容、伝えた料金、到着予定時刻。これらを必ず記録に残すんです。
なぜか。万が一、お客様とトラブルになった時、記録があなたの会社を守るからです。
「そんな料金聞いてない」「到着時間が違った」こうしたクレームに対して、記録があれば冷静に対応できます。「○月○日○時の電話で、料金12,000円とお伝えし、到着予定は25分後とお伝えしております」と。
また、この記録は教育にも使えます。新人スタッフに「こういう風に対応しなさい」と教える時、実際の記録を見せながら教えれば、理解が早いんです。
12. 業界全体の信頼回復のために
ぼったくり業者による被害が報道されるたび、私たちの商売も影響を受けます。でも、だからこそ、今がチャンスでもあるんです。
「ちゃんとした業者もいる」 「誠実に対応してくれる会社もある」
そう思ってもらえる対応を、一つひとつの電話で積み重ねていく。それが、あなたの会社のブランドになり、業界全体の信頼回復にもつながります。
電話を受けるスタッフ全員に、これらのポイントを徹底してください。マニュアルを作ってもいい。ロールプレイングで練習してもいい。とにかく、「最初の電話で信頼を勝ち取る」技術を磨くんです。
お客様が電話を切る時、「この会社に頼んで良かった」そう思ってもらえたら、もう勝ちです。現場に到着する前から、あなたの会社のファンになっているはずです。
そして、作業が終わった後。お客様は必ず、こう言うでしょう。
「電話の時から感じ良かったけど、本当に来てくれて助かりました。ありがとう」
この一言を聞くために、私たちは電話対応を磨き続けるんです。ぼったくり業者と一緒にされないために。そして、困っている人を本当に助けるために。
明日からの電話対応、少しだけ意識を変えてみませんか。あなたの声が、お客様の不安を安心に変える。その力を、信じてください。