1. 「アットホーム」が逆効果になる時代

「うちの会社、アットホームな雰囲気が自慢なんですよ」

先月、ある中堅レッカー会社の社長が、求人広告を見せてくれました。そこには大きく「アットホームな職場」の文字。でも、応募はゼロ。

「おかしいですよね。こんなに良い職場なのに」

実は、おかしくないんです。今の若い世代、特にZ世代(1990年代後半〜2010年代初頭生まれ)にとって、「アットホーム」という言葉は、むしろマイナスイメージなんです。

マイナビの調査によると、大学生の63.4%が福利厚生を「勤務地・仕事内容・給料と同程度に関心がある」と回答しており、福利厚生が給与や職種と同等の重要な判断基準へと格上げされました。

引用元:すごい人事「中小企業でもできる!新卒学生が求める『福利厚生』とは?」 

Z世代が求人票で本当に見ているのは、「アットホーム」ではなく、具体的な福利厚生なんです。

2. Z世代が「アットホーム」を嫌う理由

なぜZ世代は「アットホーム」という言葉を嫌うのか。理由は3つあります。

理由1:プライベートに踏み込まれそう

Z世代はワークライフバランスを非常に重視します。マイナビの調査では、魅力を感じる福利厚生の1位は「休暇制度(53.8%)」、2位は「働き方(50.8%)」でした。

引用元:GLTD保険ガイド「Z世代が職場に求めるものは?」 

「アットホーム」という言葉は、「仕事とプライベートの境界が曖昧」「休日も連絡が来そう」というイメージを与えてしまうんです。

理由2:飲み会や付き合いが多そう

Z世代は「給料よりも誰と・どのような環境で・どんな仕事を担うのか」を重視しています。

引用元:vollect「Z世代を意識した採用戦略」 

でも、「アットホーム」と聞くと、「頻繁な飲み会」「休日のイベント参加」「上司との個人的な付き合い」を連想してしまい、敬遠されます。

理由3:古い体質に聞こえる

Z世代は時代遅れの組織を敬遠します。「アットホーム」という言葉自体が、「昭和的」「古い」というイメージを持たれがちです。

3. Z世代が本当に見ている「福利厚生」の優先順位

では、Z世代は求人票のどこを見ているのか。最新の調査データから、優先順位の高い福利厚生TOP5をご紹介します。

第1位:休暇制度(53.8%)

Z世代が最も重視するのは、休みやすさです。

  • 年間休日数
  • 有給取得率
  • リフレッシュ休暇
  • 連休取得の実績

 

「年間休日105日」とだけ記載されている求人よりも、年間休日数に加えて、有給取得率や連休の有無まで書かれているほうが、働き方を具体的にイメージしやすい傾向があります。

たとえば、年間休日120日、有給取得率85%、連休取得の実績ありといった書き方です。

こうした実態に近い情報まで書いたほうが、応募者の安心感は明らかに違ってきます。

レッカー業界は24時間体制のため「休みにくい」というイメージがあります。だからこそ、具体的な数字で安心感を与えることが重要です。

第2位:柔軟な働き方(50.8%)

Z世代は固定された働き方を嫌います。

  • フレックスタイム制
  • シフト選択の自由度
  • 副業の可否

レッカー業では完全なリモートワークは難しいですが、「シフトの希望が通りやすい」「副業OK」という柔軟性はアピールできます。

「シフト制」とだけ書いてしまうと、融通が利かなそうな印象を持たれがちです。

実際には、シフトの希望は月2回までほぼ確実に反映されていますし、副業についても、事情に応じて相談できる環境です。

第3位:経済的な支援(44.3%)

Z世代は将来の経済的不安を強く感じています。大和ライフネクストの調査では、企業選びで重視することの1位が「福利厚生が整っている(44.3%)」で、「給与の高さ(39.8%)」を上回りました。

引用元:すごい人事(同上)

住まいや通勤、スキルアップに関するサポートは、求人票の中でも関心を持たれやすいポイントです。

たとえば、家賃補助を月3万円程度設けていることや、けん引免許の取得費用を会社が全額負担する制度、通勤にかかる交通費を実費で支給していることなどを具体的に書くと、働くうえでの負担がイメージしやすくなります。

第4位:成長・スキルアップの機会

Z世代の75.1%が「自分の市場価値を上げたい」と考えていると言われています。
レッカー業は、現場を通じて専門技術が身につく仕事であり、その点は業界全体の強みでもあります。

求人票では、資格取得や成長の流れがイメージできるように書くことが大切です。
たとえば、入社1年目にけん引免許の取得を目指し、費用を会社が負担するケースや、2年目以降に大型免許、3年目以降にクレーン資格などへステップアップできる流れを示すと、将来像が伝わりやすくなります。

単に制度の有無を並べるより、「どんな順番で成長していけるのか」を具体的に示すことで、応募者は自分の将来を重ねて考えやすくなります。

第5位:明確なキャリアパス

Z世代は「配属ガチャ」を嫌います。マイナビの調査では、「勤務地を自分で選びたい」と答えた学生は86.9%に上りました。

引用元:vollect(同上)

レッカー業でも、「将来どんな立場を目指せるのか」を求人票の中で示すことは重要です。

たとえば、入社から3年ほどで主任クラス、5年程度でリーダー候補といった目安を示し、その先には営業所長や技術責任者といったキャリアの広がりがあることを書いておくと、応募者は長く働くイメージを持ちやすくなります。

4. 実際の求人票:NG例とOK例

NG例:Z世代に響かない求人票

【レッカー隊員募集】

 

・アットホームな職場

・やりがいのある仕事

・未経験者歓迎

・各種手当あり

・昇給あり

 

これでは誰も応募しません。

OK例:Z世代に響く求人票

【困った人を助けるロードサービススタッフ募集】

 

■この仕事の魅力

・専門技術が身につく(けん引免許取得支援/費用全額負担)

・市場価値が上がる(転職市場でも評価される技術)

・人の役に立つ実感が毎日ある

 

■働き方(ワークライフバランス重視)

・年間休日120日(業界平均を大きく上回る)

・有給取得率85%以上

・シフト希望は月2回まで確実に通ります

・副業も相談OK

 

■福利厚生(経済的な安心)

・家賃補助:月3万円

・けん引免許取得費用:全額負担(約30万円相当)

・通勤手当:全額支給

・深夜手当:法定の1.5倍(22時〜翌5時)

・資格手当:月5,000円〜3万円

 

■収入例

・入社1年目:月給25万円+諸手当(年収350万円)

・入社3年目:月給30万円+諸手当(年収450万円)

・入社5年目:月給35万円+諸手当(年収550万円)

 

■キャリアパス

入社1年目:基礎研修+先輩との同行

入社2年目:一人立ち+けん引免許取得

入社3年目:主任候補+大型免許取得

入社5年目〜:リーダー候補または技術スペシャリスト

 

同じ会社、同じ仕事内容でも、伝え方を変えるだけで応募者が変わります。

5. レッカー業界で使える「低コスト福利厚生」5選

「でも、うちは中小企業だから、大手みたいな福利厚生は無理」という声が聞こえてきそうです。

でも、大丈夫。お金をかけなくても、Z世代に響く福利厚生はあります。

 

1. 誕生日休暇(コスト:ゼロ)

自分や家族の誕生日に優先的に休める制度。コストはゼロで、満足度が高い福利厚生です。

 

2. シフト希望の優先(コスト:ゼロ)

「月2回まではシフト希望を確実に通す」というルール。運用の工夫だけで実現できます。

 

3. 資格取得支援(コスト:年30万円程度)

けん引免許の取得費用を会社が負担。約30万円の投資で、「成長できる会社」というイメージを与えられます。

 

4. 副業許可(コスト:ゼロ)

副業を認めるだけ。コストはゼロで、「柔軟な働き方」をアピールできます。

 

5. 有給取得の見える化(コスト:ゼロ)

「有給取得率85%以上」と具体的な数字を公開。実際に取得率を上げる努力は必要ですが、追加コストは不要です。

 

6. まとめ:「言葉」ではなく「数字」で語る

  • 「アットホーム」はZ世代にマイナスイメージ
  • Z世代の63.4%が福利厚生を給与と同程度に重視
  • 優先順位TOP5:休暇制度、柔軟な働き方、経済的支援、成長機会、明確なキャリア
  • 具体的な数字で示すことが重要
  • 低コストでも実現できる福利厚生は多い 

求人広告で大切なのは、「アットホーム」といった抽象的な言葉ではなく、具体的な数字と制度です。

「年間休日120日」「有給取得率85%」「家賃補助月3万円」。こうした具体的な数字が、Z世代の心を動かします。

あなたの会社の求人票、今一度見直してみませんか?「アットホーム」の文字があったら、今すぐ削除してください。そして、具体的な福利厚生の数字を書き込んでください。

その小さな変更が、応募者を倍増させるかもしれません。